飲食店を開業しようとするとき、多くの方が疑問に思うのが「飲食店営業許可に種類はあるのか?」という点です。レストラン、カフェ、居酒屋、さらにはテイクアウト専門店やキッチンカーなど、形態が違えばそれぞれ別の許可が必要なのでは?と心配になる方も少なくありません。

結論から申し上げますと、飲食店営業許可は基本的に1種類しかありません。ただし、提供する食品や営業形態によって「別の許可」や「追加の届出」が必要になる場合があり、この違いが“種類があるように見える”理由となっています。

この記事では、よくある誤解を整理しながら、実務上どのように考えればよいのかをわかりやすく解説します。

飲食店営業許可に“種類”はない

飲食店営業許可は、食品衛生法に基づく営業許可のひとつであり、基本的に「飲食店営業」という1種類のみです。提供する料理の内容(和食・洋食・中華・居酒屋など)によって複数の許可が必要になることはありません。

※食品衛生法35条では32の業種が定められており、その内の1業種が「飲食店営業」となっています。他には菓子製造業や魚介類販売業、アイスクリーム類製造業から漬物製造業まで、様々な業種が規定されています。

なぜ“種類がある”と思われるのか

  • 食品ごとの製造許可と混同:菓子製造業や食肉処理業など、製造業許可が別途必要なケースと混同している
  • 営業形態の違い:店内飲食・テイクアウト・移動販売などで必要な設備が異なり、あたかも許可が違うように感じられる
  • 別法令による規制:風営法の深夜営業届出や過去に存在していた制度など、別制度の存在が「種類がある」という誤解につながる

かつては「喫茶店営業」という独立した営業許可の区分が存在していました。 しかし現在では、喫茶店もレストランや居酒屋などと同じ「飲食店営業」に含まれる扱いとなっています。

さらに、「喫茶店営業」の中には喫茶店のほかに、かき氷販売営業やコップ式自動販売機による飲食物提供なども含まれていましたが、これらも整理され、現在では**「調理の機能を有する自動販売機により食品を調理し、その調理済み食品を販売する営業」**という新しい区分に一本化されています。

よくある誤解と正しい整理

Q
食品ごとに別の飲食店営業許可が必要?
A

飲食店営業許可は、調理・提供を目的とする営業全般を対象にしており、メニューごとに分かれているわけではありません。
ただし、たとえばイートインスペースのあるお店が「自家製パンを製造して販売する」「洋菓子を店頭販売する」といった場合には、飲食店営業許可とは別に**製造業許可(菓子製造業など)**が必要になります。この違いが「食品ごとの許可がある」と誤解されやすいポイントです。

Q
持ち帰りやデリバリーは別の許可が必要
A

テイクアウトやデリバリーを行う場合でも、飲食店営業許可だけで足りるケースがほとんどです。
ただし、提供方法や食品の加工度合いによっては「製造業許可」の範囲に入ることがあります。例えば、弁当や惣菜をあらかじめ調理する場合や、製造業が必要な菓子(パン含む)やアイスクリームなどを販売する場合です。

Q
深夜営業やバーは別の“飲食店”許可が必要?
A

飲食店営業許可は昼間でも夜間でも同じ1種類です。
ただし、午前0時以降にアルコールをメインに提供して営業するお店は、**風営法に基づく「深夜酒類提供飲食店営業の届出」**が必要になります。これは飲食店営業許可とは別制度であるため、「種類がある」と混同されやすいです。

Q
移動販売(キッチンカー)は別の許可が必要?
A

キッチンカーの営業についても、飲食店営業許可の取得で足ります。ただし、通常の飲食店舗とは違い、車両内の設備(シンク・給排水タンク・冷蔵庫など)が基準を満たしている必要があります。

許可と別の“制度・届出”の違い

飲食店を経営する上で混同しやすい制度を整理すると以下の通りです。

  • 食品衛生法上の「飲食店営業許可
    基本はこれ1種類
  • 製造業許可(菓子・食肉・乳製品など)
    製造販売する場合に必要
  • 風営法関係(深夜営業届出、風俗営業許可)
    営業時間や業態により必要
  • 消防法・建築基準法関係
    店舗の安全設備や面積に応じて必要
  • HACCPや食品表示法
    食品の安全管理・表示義務に関する制度

このように、「飲食店営業許可」自体は1種類ですが、周辺の法律によって別の手続が必要になるケースがあるため注意が必要です。

飲食店営業許可の取得フローはこちら

実際に飲食店営業許可を取得するためには、書類作成や図面準備、保健所とのやり取りなどが必要です。具体的な申請の流れは以下の記事で詳しく解説しています。

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