キャバクラやガールズバー、コンカフェやスナックといった社交飲食店、さらには雀荘やゲームセンター、アミューズメントカジノまでー風営法上の許可が必要なお店は、どこでも自由に営業できるわけではなく、一定のエリアでは営業が禁止されています。

では「営業可能なエリア」をどうやって見極めればよいのでしょうか。役所に「ここでキャバクラを営業できますか?」と直接尋ねても、明確な答えをもらうことはできません。

なぜなら、営業の可否は単に地図上で判断できるものではなく、条例や関連法令の知識、徒歩による予定地周辺の調査、そして判断に対する責任が伴うため、一言で答えられるものではないからです。

本記事では風営店舗のオープンが可能かどうかを判断するために重要な、風営法上のエリア制限を詳しく解説します。

営業可能なエリアを見極めるためには、大きく分類すると下記の2つの理解が必須です。
②の保全対象施設については、別記事で解説しています。

  1. 用途地域の制限 ←いまこの記事
  2. 保全対象施設

潜むリスクの大きい作業

風営法関連の許可において、最もリスクを伴う作業は立地制限の確認です。

地域ごとに適用される法令や条例は多岐にわたり、確認を怠ったり、解釈を誤ったりすると、簡単に「不許可」と判断されてしまいます。

その場合、店舗のオープンに向けて投じた内装費や人件費など、これまでの準備にかかったコストがすべて無駄になってしまう恐れがあります。そのため、数ある行政書士業務の中でも特に専門的な知識を要し、注意が必要な作業となっています。

営業可能な場所か判断するためには、用途地域による制限を確認し、保全対象施設の有無を調査する必要があります。

まずは用途地域の制限を確認してみましょう。保全対象施設の要件に比べるとそこまで難しくありませんが、正しく理解できるように法令の根拠を示しながら詳しく解説します。

用途地域の制限

風営法第4条第2項第2号では、「営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるときには、許可をしてはならない」と定められています。

つまり、具体的な立地制限については、地域の状況や特性を踏まえ、都道府県ごとの条例で細かく定めるようにしてください、という趣旨です。

したがって、風営法許可を検討する際には、必ず該当地域の条例を確認する必要があります。ここでは、大阪府の条例を基に確認してみましょう。

大阪府風営条例(制限地域の規定)
  1. 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第八条第一項第一号に規定する第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域及び田園住居地域。ただし、第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域のうち公安委員会規則で定める地域を除く。

大阪府の場合、上記の条例に該当する地域においては、風俗営業の許可を取得することはできません。

営業可能エリア

大阪府では用途地域のうち、住居系にあたる8種類の地域は風俗営業の禁止区域とされており、許可を得られるのは残りの5種類の地域に限られます。

禁止地域
営業可能地域

用途地域制限の例外

用途地域については「ただし、公安委員会規則で定める地域を除く。」と記載されています。これはつまり、営業所が用途地域の制限下にあったとしても、特定の地域に位置している場合は許可を取得できる余地があるということを意味しています。

そして、特定の地域とは公安委員会規則に定められています。

公安委員会規則
  • 公安委員会規則 第2条(制限地域の特例)条例第2条第1項第1号ただし書の公安委員会規則で定める地域は、次に掲げる地域内の第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域とする。
    1. 別表第1の左欄に掲げる道路の側端からおおむね25メートルの区域のうち、当該道路の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる地域
    2. 別表第2に掲げる鉄道線路の各駅の出入口(一般乗降客が利用するために設けられた駅舎等の出入口をいう。)の周囲おおむね50メートルの区域
  • 2 条例第2条第1項第2号ただし書の公安委員会規則で定める区域は、別表第3に掲げる地域とする。

道路端25メートルの区域

第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域かつ、下記の表に指定する区域内にある道路の端から25メートル以内に位置していれば許可の取得が可能となります。

指定道路の一覧 (クリックで開く)

駅の出口周囲50メートルの区域

第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域かつ、下記の表に指定する駅の出口から50メートル以内に位置していれば許可の取得が可能となります。

指定駅の一覧(クリックで開く)

建築基準法との抵触

風営法で許可される地域の中には「工業地域」や「工業専用地域」も含まれます。しかし、建築基準法第48条では、これらの地域におけるキャバクラやナイトクラブの建築が制限されています。つまり、風営法上は営業が可能であっても、建築基準法上は建築自体が認められないという矛盾が生じることになります。

この点については、両法律の趣旨や目的が異なるため、風営法の要件を満たせば風営法の管轄庁から許可が下りる可能性は高いと考えられます。とはいえ、建築基準法に抵触していることは事実です。自治体や担当部署の判断によっては不許可とされるケースも考えられるため、事前に十分な確認が必要です。

風営法そのものには記載がなくても、他の関連法令によって許可の可否が左右される場合があります。そのため、風営法だけを確認すれば良いというわけではなく、関係するさまざまな法令を総合的に確認することが重要です。

建築制限の法令
  1. 建築基準法第48条 別表第二(を)
    • 一(る)項第三号に掲げるもの
    • 二 ホテル又は旅館
    • 三 キャバレー、料理店その他これらに類するもの
    • 四 劇場、映画館、演芸場若しくは観覧場又はナイトクラブその他これに類する政令で定めるもの
    • 五 学校(幼保連携型認定こども園を除く。)
    • 六 病院
    • 七 店舗、飲食店、展示場、遊技場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類する用途で政令で定めるものに供する建築物でその用途に供する部分の床面積の合計が一万平方メートルを超えるもの

保全対象施設の確認

風営許可を取得しようとする店舗の周辺に保全対象施設が存在する場合、当該場所での許可取得はできません。保全対象施設とは、学校や病院など周囲の風俗環境を保護する必要がある施設を指し、都道府県の条例で指定されます。

この確認に少しでも見落としがあれば、不許可は避けられません。誤解や勘違いは大きなリスクにつながります。そのため、正しい理解と慎重な調査が不可欠です。

保全対象施設については次の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

手続きにお困りの際は、お気軽にご相談ください

許認可の手続きは複雑なことが多く、ご自身で対応される場合は、法令学習にそれなりの時間を費やす必要があります。また、不許可の際には多額の費用が無駄になったりと、高いリスクを伴うこともあります。

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