ガールズバーやスナック、キャバクラ、コンカフェ、雀荘、アミューズメントカジノなど、風営法上の許可を取得する場合は「個人」か「法人」のどちらかで申請を行うことになります。

このとき、個人の名義で申請するのがよいのか、それとも法人を設立してから申請をしたほうが良いのか決めかねて、お悩みの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、風営法の許可申請を検討している方向けに、「個人」と「法人」で申請した場合のメリットやデメリットを解説したいと思います。

風俗営業許可について

まず、風俗営業許可にいう「風俗営業」とは下記1~5号の営業を指します。

  1. 社交飲食店(風営法1号許可)
    ※キャバクラやガールズバー、コンカフェ、スナックなど。
  2. 低照度飲食店(風営法2号許可)
  3. 区画席飲食店(風営法3号許可)
  4. 麻雀、パチンコ店(風営法4号許可)
  5. ゲームセンター、アミューズメントカジノなど(風営法5号許可)

上記の許可を取得する場合は、「個人」または「法人」のどちらかで申請する必要があります。そして申請が認められ、許可が下りることで「風俗営業者」となることができます。

風営許可は譲渡が可能

風俗営業許可は他人や他の法人に受け渡す事が可能です。ただし、名義変更のように書き換えの手続があるわけではありません。そのため、状況によっては希望通りの許可の承継が出来ない可能性があります。

具体的には、以下のケースに該当する場合に承継することが可能です

  1. 風営許可を相続した場合
  2. 風俗営業を行う法人が合併した場合、その合併した法人や新しく設立された法人
  3. 風俗営業を行う法人が分割し、風俗営業を承継した法人

譲渡を視野に入れるなら「法人」

「個人」か「法人」どちらで取得するか考える場合は、後々に営業権を譲渡したり売却するかどうかを主眼に置いて考えると良いかと思います。具体的には、営業権を譲渡する可能性がある場合は「法人」での取得をおすすめします。

メリット・デメリット

他の許認可の場合、まず「個人」で許可を取得し、業務が軌道に乗った場合は「法人」にて再度許可を取得し直すというケースが見られます。しかし、風営許可において同じような方法を取る場合、果たして事はスムーズに進むのでしょうか?

次に、そのようなケースも含め「個人」と「法人」で取得した場合の取り扱いについて比較したいと思います。

個人で許可を取得する場合

法人設立の手間や費用が掛からない為、個人で許可を取得した方が負担は少なくなります。しかし、個人で取得した風営許可は、本人が死亡し相続で承継する場合以外、他人へ譲渡する事が出来ません。

自分一代限りで営業する場合は問題ありませんが、事業承継をして営業権を売却する事が出来なくなったりと不都合が生じる場合があります。

個人で許可を取得した後に事業が軌道に乗り、あとで法人化すればよいのでは、と考える方もいるでしょう。しかし、法人化をした場合は、個人⇒法人への変更届のようなものがある訳ではなく、改めて風営許可を法人名義で新規取得しなければなりません。

その場合のデメリットは次のようなものが考えられます

後に法人成りして風営許可を取得しなおす場合のリスク

  1. 同じ業態なのに風営許可が取得できない
    風営許可は申請時点での法令を参照します。その為、後の法令改正によって取得制限が厳しくなったり、以前は可能だった営業が不可能となる場合があります。
    昨今、社会のホワイト化や健全化が進んでいますが、風営関係はそのあおりを受けやすくなっています。例えば店舗型性風俗というものが風営法によって規定されていますが、この法では営業禁止エリアを各地域の条例により設定できるものとしています。そして各地域の条例を見てみると、ほとんどの地域で全域において禁止とされており、新規許可の取得は事実上不可能となっています。現在営業している店舗は許可が取得可能だった一昔前に取得し、法人の合併や分割によってその営業権を承継し、存続しています。とても貴重な既得権の為、その営業権は高額で取引されていることでしょう。
  2. 同じ場所なのに風営許可が取得できない
    風俗営業は保全対象施設と呼ばれる施設(学校や病院など)の周辺では出来ません。そして風営許可は申請時点での店舗周辺の状況を参照する為、以前は無かった保全対象施設が店舗周辺に新しく出来た事により、以前は許可が取得出来たとしても、再度取得することが出来なくなる場合があります。例えば既に営業している店舗の近くに、学校や病院などの施設が開設された場合は、その周辺では新規のキャバクラや麻雀店の許可取得は不可能になります。

法人で許可を取得する場合

個人での取得と違い、法人合併や分割を利用すると、風俗営業を他人へ承継することが可能となります。既にその地域で許可を取得できないような貴重な営業権の場合は、それなりに高額な売却利益を手にすることも可能でしょう。

デメリットといえばまず、法人設立の手間と費用が掛かります。法人設立の費用は実費だけでも20万円以上掛かる上、専門家に頼むと更に報酬分が上乗せとなります。

そして、法人には経営幹部として役員が設置されますが、風営許可を取得する場合、役員一人ひとりが欠格要件に該当しない事が求められます。

更に必要書類の数も増し、許可取得までのハードルや煩雑さが高くなる部分はデメリットといえます。ただし、社会的信用の向上や節税面でのメリットが考えられます

まとめ

簡単に纏めると、以下のようになります。

個人の場合

メリット

  • 費用が安く済む
  • 開業までの手続が少なめ

デメリット

  • 許可を自由に他人へ承継できない
  • 法人成りして許可を再取得しようとしても、不可能な場合がある
法人の場合

メリット

  • 合併や分割で許可を承継させることが可能
  • 許可を再取得する手間やリスクが生じない

デメリット

  • 会社設立の手間と費用がかかる
  • 開業までの手続きが増加し、時間がかかる。

法人で取得する場合はお早目に

風営許可は申請から許可まで3ヶ月程度の時間がかかります。そして法人を設立していない状態では、風営許可の申請は出来ません。つまり、この場合は法人設立を待機する時間が発生してしまいます。

法人を設立するにも数週間はかかりますから、これが原因でオープン予定日に間に合わないという事態が発生したり、カラ家賃が発生して余計な費用がかかったりします。※他の許認可でもよく遭遇するケースです。

したがって、なるべく早めの行動を心がけましょう。

手続きにお困りの際は、お気軽にご相談ください

許認可の手続きは複雑なことが多く、ご自身で対応される場合は、法令学習にそれなりの時間を費やす必要があります。また、不許可の際には多額の費用が無駄になったりと、高いリスクを伴うこともあります。

ご自身での申請に不安がある場合や、お急ぎの場合は、どうぞ遠慮なく当事務所までご相談ください。あなたの悩みを解決し、そして確実にサポートいたします。