ニュースで風営法の無許可営業による摘発を見ると「なぜ許可を取得しないのだろう?」と思いませんか?
逮捕のリスクを考えれば、正式に風営許可を取得して堂々と営業をすれば良いのに、なぜ無許可営業を選ぶのか疑問に思うかもしれません。 確かに許可を取得すれば合法的に営業できますが、そうはしたくない事情がお店側に存在しているのです。
本記事ではそんな、リスクを冒して無許可営業をしている店舗の事情を紹介したいと思います。
以下の事例はいずれも、営業方法を変更するなど適切な対策を取れば合法的な営業に切り替える事が可能です。 多くは利益を優先した結果であり、制度上の欠陥が直接の原因になっているわけではありません。
CASE1. 深夜営業のスナックやガールズバーの場合
バーなどのお店が、深夜までお酒を提供するためには” 深夜酒類提供飲食店 “の届出を警察に提出する必要があります。 しかし、届出をすることで0時以降の営業は可能になりますが、この届出をしたとしても風営法上の『接待行為』は出来ません。
スナックやガールズバーでは、客と会話したり、カラオケに合いの手を入れるなどのいわゆる『接待行為』がつきものです。 そして、接待を行う為には風営許可のうち1号許可(社交飲食店許可)とよばれる許可を取得しなければなりません。
では風営許可も追加で取得すれば良いのでは?と思われるかもしれませんが、風営許可を取得すると今度は逆に深夜営業が禁止されてしまいます。
つまり店舗は次のどちらかを選ばなければなりません。
- 『深夜営業』を取って、『接待』を諦める ※深夜酒類提供飲食店として営業する
- 『接待』を取って、『深夜営業』を諦める ※社交飲食店として営業する
0時以降の営業は売上機会が大きいため、お店としてはなるべく深夜も営業したいところです。
また、許可を取得して正当に営業したいと考えても、風営許可は立地制限など取得ハードルが高く、誰でも簡単に得られるものではありません。
したがって、”深夜営業の届出をして深夜も営業しつつ、こっそり接待を行う”といった違法な選択を取ってしまう店が出てきます。
CASE2. ショーをするお店の場合
某有名なショークラブが、無許可営業による風営法違反で経営者が逮捕されたというニュースがありました。
このお店は深夜までショーなどの見世物を行うため” 特定遊興飲食店 ”という許可を取得していましたが、この許可は深夜0時以降の遊興(ショー等)を許す一方で、『接待行為』は認められていません。
しかし、こういったお店はダンサーが各テーブルの客を回ってチップのやりとりをするようなこともあり、その際の行為が『接待』にあたると警察に判断されると、許可の範囲を超えた営業とみなされ摘発につながります。
CASE1と同様に、『接待』をするためには風営許可が必要ですが、取得する事で今度は『深夜営業』が禁止されるため、結果的に無許可の行為が発生するという構図です。
ニュースを見て、なぜ風営許可を取得しないのだろうと思ったとしても、 取らないのではなく、そもそも取れない為、無許可営業をしているのです。(勿論、営業内容を見直すことで適法な営業に切り替える事は可能です。)
特定遊興飲食店の許可は厳密には風営許可ではありません。似たような位置にいますが、全く別のカテゴリーです。 この許可では深夜0時以降の『遊興』が許可されますが、『接待』は出来ません。
CASE3. メイドカフェ・コンカフェの場合
風営許可を取得したお店は、18歳未満の客を入店させる事が出来なくなり、18歳未満の従業員の雇用もしづらくなります。
そうすると対象となる顧客の幅が大幅に縮小してしまいますし、『18歳未満の方は入店できません』とお店に書いてあれば、「いかがわしいお店なのかな?」 という印象を与える恐れもあります。
また、スナックやキャバクラ、ホスト等と違い、18歳未満の若い従業員をスタッフとして起用すれば、他のナイトビジネスにはない大きなアドバンテージを得られます。
また、深夜酒類提供飲食店として営業をすれば、風営許可では出来ない夜中の営業も可能になります。
こうした営業上のメリットから、『接待』にならないように注意しながら、ギリギリの営業するお店が多いのです。
CASE4. 許可が取得できない地域の場合
風営許可には立地制限があり、学校や病院など(保全対象施設といいます)から一定距離内では許可が下りないなど、営業可能な場所が限定されます。
既に営業している店舗が後から許可取得を試みても、周囲の環境要件を満たさず申請が認められない——という事情もあります。
結果として「許可を取りたくても取れない」ため、無許可営業を継続してしまうケースがあります。
CASE5. 違法メンズエステの場合
性風俗関連の営業は多くの自治体で厳しく制限されており、例えば関西では店舗型性風俗店の新規出店が事実上不可能となっています。 したがって、店舗型のマッサージ店を装った違法メンズエステ等は許可を取る術が無く、無許可営業をするしかないのです。
それに対して、無店舗型の営業(デリバリーヘルス等)は比較的制限が緩い為、現在では無店舗型の出店がほとんどを占めています。
しかし、無店舗型とはいえ、指定したマンションやホテルで継続的に施術を行わせる等の運用が「店舗型」とみなされると摘発の対象となります。
おわりに
摘発される店舗の多くは「許可を取る代わりに売上が大きく下がってしまう」「そもそも許可を取得できない立地である」といった事情を抱えています。
とはいえ、営業方法や運用を見直すことで適法な営業に切り替えられるケースも多く存在します。
営業形態や許可の可否について疑問がある場合は、まず現状の運用を整理し、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。
手続きにお困りの際は、お気軽にご相談ください
許認可の手続きは複雑なことが多く、ご自身で対応される場合は、法令学習にそれなりの時間を費やす必要があります。また、不許可の際には多額の費用が無駄になったりと、高いリスクを伴うこともあります。
ご自身での申請に不安がある場合や、お急ぎの場合は、どうぞ遠慮なく当事務所までご相談ください。あなたの悩みを解決し、そして確実にサポートいたします。



