麻雀店(雀荘)では、実は遊ぶための料金が法律で細かく定められていることをご存じでしょうか。たとえば全自動卓なら「1人1時間600円まで」、セット麻雀なら「1卓2,400円まで」と、まるで公共交通機関の運賃のように国が料金に介入しています。さらに、パチンコ店では遊技結果に応じた賞品交換が認められているのに対し、麻雀店では賞品提供が一切禁止されるという扱いの違いもあります。なぜ、これほど厳格な規制が設けられているのでしょうか。

その背景には、麻雀店が風営法上「射幸心をそそるおそれのある遊技」を扱う4号営業に位置づけられているという事情があります。もし料金を青天井にし、勝敗に応じて現金化できるポイントや賞品を与えるような仕組みが認められてしまえば、麻雀は事実上、射幸性の高いギャンブルとして機能させることが可能となります。

このような事態を防ぎ、麻雀を健全な娯楽として維持するために、日本の法令では料金設定と賞品提供について厳しい枠組みが設けられているのです。言い換えれば、国が「射幸性の程度」を判断し、その基準を法令で明確に示しているとも言えます。

本記事では、この麻雀店の料金規制と射幸性規制に関する法的な仕組みについて、分かりやすく解説していきます。麻雀店(雀荘)の経営を検討している方にとっても、遵守しなければならない料金設定や規制について詳しく理解できるような内容になっています。

麻雀店(雀荘)の許可について全体像を知りたい方はこちらの記事もどうぞ

遊技の結果に応じた賞品提供」の禁止

麻雀店がギャンブル化するのを防ぐための中核的な規制が、遊技の結果に応じた賞品の提供禁止です。

麻雀店は客に対し遊技結果に応じた賞品の提供が禁止されています。

風営法第23条第2項は、「まあじやん屋又は同項第5号の営業を営む者は、その営業に関し、遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない」と明確に定めています。※ちなみに5号の営業というのはゲームセンター等を指します。

これは、たとえその賞品が現金や有価証券ではなく、物品やポイントであったとしても、遊技の「勝敗」や「順位」といった結果に連動して提供されることを禁じるものです。この規制を破った場合、違反者は「六月以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金」に処せられる可能性があります。※風営法53条4号

麻雀の遊技料金の規定

麻雀店に対して国は料金体系そのものに介入し、その射幸性をコントロールしています。これは、風営法第19条に基づき、麻雀店の遊技料金について

国家公安委員会規則で定める遊技料金、賞品の提供方法及び賞品の価格の最高限度(まあじやん屋を営む風俗営業者にあつては、遊技料金)に関する基準に従い、その営業を営まなければならない。

と規定されていることからも明らかです。

実際に、施行規則第36条では、麻雀店の遊技料金の最高限度が具体的に定められています。

麻雀店の料金

客一人あたり
  1. 全自動式の麻雀卓
    1時間につき600円(+消費税等相当額)を超えないこと。
  2. その他の麻雀卓
    1時間につき500円(+消費税等相当額)を超えないこと。
麻雀卓一台あたり
  1. 全自動式の麻雀卓
    1時間につき2,400円(+消費税等相当額)を超えないこと。
  2. その他の麻雀卓
    1時間につき2,000円(+消費税等相当額)を超えないこと。

このように料金を細かく制限することは、高額な参加費(ゲーム料金)を集めることで射幸性の高い賭博的な要素が生まれることを未然に防ぐ目的があります。

パチンコ営業との比較

パチンコ屋(4号営業)も射幸心がある遊技を提供していますが、その規制は麻雀店と対照的です。

パチンコ屋は遊技の結果に応じて賞品を提供すること自体は可能ですが、以下の行為が厳しく禁止されています。

  1. 現金または有価証券を賞品として提供すること。
  2. 客に提供した賞品を買い取ること

パチンコにおいては、遊技結果が物品という形で「賞品」に変換されることは許容されていますが、その物品を営業者が直接現金化することは許されていません(いわゆる三店方式はこの禁止規定を回避するために編み出された手法であり、パチンコ営業者が直接賞品を買い取る行為は依然として違法です)。

一方、麻雀店では、パチンコ屋で許されている「遊技の結果に応じた賞品の提供」すらも完全に禁止されています。

この違いは、国が遊技の種類ごとに射幸性の許容レベルを判断し、基準を細かく設定しているということを裏付けます。パチンコには遊技機そのものの持つ射幸性があるため、遊技機の規格(大当たり確率や出玉性能など)を厳しく規制する一方で、間接的な賞品提供は許容されています。対して麻雀店は、遊技結果の還元を一切認めず、利用時間に対してのみ課金できる、最も射幸性を排除した規制下に置かれています。

店内トーナメントは注意

店内大会を開催し、順位を競わせるイベントを企画したいと考える雀荘も少なくありません。しかし、前述の通り、客への賞品提供は法令で禁止されています。小規模な店内大会であっても、ちょっとしたお店のサービス券やドリンク券といった景品をプレゼントすることは、この法令に抵触します。

麻雀店と関係のないスポンサー企業が大会を主催し、参加者から参加費を徴収せずに行う。というような方法であれば合法的な開催が可能となる余地はあります。しかし、形式的には問題なくても、実質的には麻雀店が開催していると判断されてしまえば話は別です。また、それ自体が認容されるかは警察によって判断されることを考えると、一概に問題ないとは言い切れないのが実情です。

健全化と業務の適正化という目的

麻雀店の料金規制と賞品提供の禁止は、その事業が「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止する」という風営法の目的に合致するよう、射幸性を徹底的に抑制するものです。

料金を時間単位で制限し、結果に基づく利益の還元を一切禁じることにより、麻雀店は、ギャンブルではなく、単に場所と設備を提供する「遊技場」としての役割を厳格に守ることが求められています。

この法的構造は、遊技の形態やその射幸性の度合いに応じて、国が詳細な基準(料金、遊技機性能、賞品提供方法など)を設定し、それを通じて公共の利益に資する「業務の適正化」を図る、という日本の風俗営業規制の根幹をなしています。

まとめ

  • 麻雀の遊技料金は法令で定められている。
    ※料金形態は客に見えやすいよう掲示する必要があります。
  • 遊技結果に応じて賞品を提供することは絶対的に禁止されている。
  • 麻雀店はこれらの規定により、ギャンブルではなく健全な娯楽として運営される枠組みが確保されている

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