飲食店を営業するためには、保健所からの「営業許可」が欠かせません。これまでは店舗の経営を第三者に譲渡する場合、譲渡する側は廃業届、譲り受ける側は新規の営業許可申請や届出が必要で、手続きが煩雑でした。

しかし、令和5年の食品衛生法改正により、営業許可の「地位承継制度」が導入され、事業譲渡に伴う名義変更が大幅に簡素化されました。これにより、飲食店の経営をスムーズに引き継ぐことが可能になっています。

本記事では、営業許可名義の変更手続きの流れを、分かりやすく解説します。飲食店を譲渡・承継したい方や、経営のバトンタッチを検討している方にとって役立つ内容となっています。

飲食店・食品事業の営業譲渡が簡単に!

令和5年6月14日の食品衛生法改正により、食品事業の譲渡手続きは大幅に簡素化されました。従来は新規申請や届出が必要だった手続きが、「地位の承継届」の提出だけで済むようになり、事業譲渡のスムーズな実行と営業の早期再開が可能になっています。飲食店や食品事業を譲渡・承継する際は、この新制度を活用することで、手続きの負担を大幅に軽減できます。

【従来の手続】

  • 譲渡人(事業を譲る側):営業廃止届の提出
  • 譲受人(事業を譲り受ける側):新規の営業許可申請または営業届出

譲渡の際には廃止と新規取得の手続きが二重になり、営業再開まで時間がかかるケースが少なくありませんでした。

【新しい手続】

  • 譲渡人廃業届の提出は不要
  • 譲受人:事前の新規営業許可申請や届出を行わず、「地位の承継届」を保健所に提出するだけで営業者名義を変更可能

飲食店営業許可における名義変更とは

名義変更が必要となる代表的なケース

飲食店営業許可は、個人または法人の名義に基づいて発行されます。そのため、経営者が変わるときには名義変更が必要になります。代表的なケースは以下の通りです。

  • 親から子へ経営を引き継ぐ場合(相続も含む)
  • 個人事業から法人成りする場合
  • 店舗の譲渡や売却を行う場合
  • 法人が合併・分割し、許可営業者の地位を承継する場合

譲渡契約だけで許可は承継しない

飲食店そのものを譲渡したとしても、営業許可は自動的に引き継がれるわけではありません。新しい経営者が保健所に対して名義変更や新規許可申請を行わなければならないのです。

親子間での飲食店営業許可の譲渡・承継

相続と譲渡の違い

飲食店を親子間で引き継ぐ場合、「譲渡」「相続」のどちらで処理するのかによって手続きが異なります。たとえば、親が引退して子が店を継ぐ場合には「譲渡」や「廃業届+新規許可」が必要になります。一方で、相続による承継の場合は相続関係を証明する必要があるなど、別途の書類が必要となります。

  • 譲渡の場合:親が存命のうちに、契約書を取り交わして子に営業権を移すケース。明確な譲渡契約が必要となります。
  • 相続の場合:親が亡くなった後に、子が店舗や営業権を引き継ぐケース。相続財産の一部として処理されるため、税務や遺産分割協議と絡むことが多いです。

どちらの方法を選ぶかで必要書類や費用が変わるため、事前に整理しておくことが重要です。

具体的な手続きの流れ

保健所への届出方法

飲食店営業許可の名義変更は、店舗を管轄する保健所に対し「地位承継届」等の書類を提出して行います。

必要書類一覧

大阪市での営業許可譲渡を例に、手続きに必要となる代表的な書類を紹介します。 ※自治体によって異なるため、必ず事前に確認が必要です。
※許可年月日が令和3年5月31日以前の場合(旧食品衛生法に基づく営業許可)は、提出書類が変わります。

地位承継に必要な書類

※1 譲渡契約書等の写し等、当事者による譲渡の意思と譲渡の事実が最低限確認できるもの又は食品営業許可施設・営業届出施設の営業譲渡に係る証明書が必要です。
法人成りの場合は、当該個人事業主と法人成り後の法人との譲渡契約書等の写し等が必要です。

相続の場合に必要な書類
  • 相続承継資格確認書
  • 相続人全員が確認できる戸籍謄本又は法定相続情報一覧図の写し ※2
  • 品営業許可相続承継同意書

※2 戸籍謄本は、被相続人の死亡が明記されたもの及び被相続人と相続人全員の関係が分かるものが必要です。(例:相続人の戸籍謄本及び被相続人の戸籍謄本又は除籍謄本)
※3 相続人が複数人の場合に必要(営業者の地位を承継すべき相続人として選定された者以外の相続人全員の同意が必要)

相続関係の証明

故人の相続手続きを進めている場合には、銀行での預金解約や不動産の名義変更などの際に、すでに戸籍謄本一式を収集していることがあります。 また、法務局で手続きを行い、法定相続情報一覧図を取得しているケースも見られます。

もしご自身で戸籍をお持ちでない場合、戸籍の収集は専門性が高く、慣れていないと自力で集めるのは難しいと感じることも少なくありません。そうした場合には、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

手続先一覧

大阪市保健所生活衛生関係窓口一覧

名称所在地担当事務担当区域
北部生活衛生監視事務所北区扇町2-1-27(北区役所2階)
TEL:06-6313-9518
環境衛生関係
理容所・美容所・クリーニング所・遊泳場・簡易専用水道

食品衛生関係
飲食店等の営業・ふぐ処理業・食鳥処理業
北区・都島区・淀川区・東淀川区・旭区
西部生活衛生監視事務所港区市岡1-15-25(港区役所4階)
TEL:06-6576-9240
環境衛生関係
理容所・美容所・クリーニング所・遊泳場・簡易専用水道

食品衛生関係
飲食店等の営業・ふぐ処理業・食鳥処理業
福島区・此花区・西区・港区・大正区・西淀川区
東部生活衛生監視事務所中央区久太郎町1-2-27(中央区役所3階)
TEL:06-6267-9888
環境衛生関係
理容所・美容所・クリーニング所・遊泳場・簡易専用水道

食品衛生関係
飲食店等の営業・ふぐ処理業・食鳥処理業
中央区・天王寺区・浪速区・東成区・生野区・城東区・鶴見区
南東部生活衛生監視事務所阿倍野区旭町1-1-17(サンビル阿倍野3階)
TEL:06-6647-0723
環境衛生関係
理容所・美容所・クリーニング所・遊泳場・簡易専用水道

食品衛生関係
飲食店等の営業・ふぐ処理業・食鳥処理業
阿倍野区・東住吉区・平野区
南西部生活衛生監視事務所住之江区浜口東3-5-16(住之江区保健福祉センター分館)
TEL:06-4301-7240
環境衛生関係
理容所・美容所・クリーニング所・遊泳場・簡易専用水道

食品衛生関係
飲食店等の営業・ふぐ処理業・食鳥処理業
住之江区・住吉区・西成区
環境衛生監視課 (環境衛生指導グループ)
中央区船場中央1-3-2-224(船場センタービル2号館2階)
TEL:06-6647-0763
興行場・公衆浴場・温泉利用・専用水道・特定建築物市内全域
環境衛生監視課 (旅館業指導グループ)中央区船場中央1-2-1-B119(船場センタービル1号館地下1階)
TEL(旅館業:06-6647-0835)(特区民泊・住宅宿泊事業:06-6647-0692
(違法民泊通報窓口:06-6647-0835
旅館業・特区民泊・住宅宿泊事業市内全域
食品衛生監視課中央区船場中央1-3-2-224(船場センタービル2号館2階)
TEL:06-6647-0743
輸出水産食品
衛生証明
市内全域

名義変更・譲渡のトラブル事例

Q
契約書の不備による問題
Q
税務・相続との関係

よくある質問(FAQ)

Q
名義変更と新規申請の違いは何ですか?
Q
親子間の譲渡でも契約書は必要ですか?
Q
親から子へ相続で引き継ぐ場合も保健所への届出は必要ですか?

手続きにお困りの際は、お気軽にご相談ください

許認可の手続きは複雑なことが多く、ご自身で対応される場合は、法令学習にそれなりの時間を費やす必要があります。また、不許可の際には多額の費用が無駄になったりと、高いリスクを伴うこともあります。

ご自身での申請に不安がある場合や、お急ぎの場合は、どうぞ遠慮なく当事務所までご相談ください。あなたの悩みを解決し、そして確実にサポートいたします。